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退職勧奨の進め方について
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退職勧奨とは
労働者から任意の退職の意思表示をしてもらうことを目的として,企業から退職を勧奨する場合をいいます。任意の退職ですので,解雇の厳格な規制に服さず,円満に雇用契約関係を終了させることができます。
ただし,行き過ぎた退職勧奨(極端な例として,暴行・強迫による退職勧奨などは,当然認められません)は,その行為態様等を理由に,後に,従業員から損害賠償請求訴訟を提起される等の形で紛争化するおそれもありますので,きちんとした手続・態様により行われることが必要です。
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行き過ぎた退職勧奨の例
裁判例上,行き過ぎた退職勧奨として,退職勧奨の効力が否定され,さらには,企業側に損害賠償責任が認められたものとして,以下のような例が存在します。
・退職に応じない従業員に対する上司による無意味な仕事の割り当てや孤立化による嫌がらせ,複数回にわたる暴力
・退職1年前に,片道2時間半もの通勤を要する勤務地への出向を命じること
・能力不足等が認められないにもかかわらず,倉庫係への降格(給与も半減)を行うこと
・うつ病の従業員に対して,(業務量の調整等の措置を行わず,)退職を勧奨する面談を繰り返し,長時間にわたって実施すること
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退職勧奨の適正な方法等
退職勧奨は,労働者の自発的な退職意思を形成するために,社会通念上相当と認められる程度の範囲内で行われることが必要とされています。
そして,それが労働者にとって,不当な心理的圧迫となりうるような強力な手段を用いてはいけないことは上記で見たとおりですが,労働者の任意性を担保するために,一定の措置を講じることも重要です。
例えば,会社の制度として,早期退職者を優遇する制度をとることが考えられます。典型的には,早期退職に応じた労働者に対して,割増退職金を支給することがあげられます。裁判例上は,業績が振るわない一定範囲の
従業員を対象に,特別支援プログラムへの参加を呼びかけ,希望者には面談を実施し,退職勧奨に応じる者については,特別支援金の支給や別会社への再就職を支援するなどの措置を講じた場合における退職勧奨行為を適法と認めた事例も存在します。
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弁護士によるサポートの必要性
退職勧奨の手段として強引なやり方を進めてしまうことは,後に不法行為にあたることを理由に,労働者から損害賠償請求を提起されるなどのおそれがありますので,適正な方法で行われる必要があります。
弊所では,退職勧奨の適正な進め方等について,必要なチェック,アドバイス等を承っております。どうぞ,お気軽にご相談ください。