解雇・退職について

1 解雇と退職の関係

  会社と労働者との間の労働契約関係が終了することを,労働者側から見て「退職」と言います。

  退職の場面においても,会社の方から労働者に対し,何らかの理由により労働契約の終了を通知する場合を「解雇」,反対に,労働者の方から会社に対して退職の意思を通知することを「辞職」と言います。

 

2 解雇を行う際の注意点

  解雇には,大きく3つの種類(普通解雇,懲戒解雇及び整理解雇)があることについては,「解雇の種類」の記事でご紹介したとおりですが,会社が労働者に対して解雇を行う場合には,3つのいずれの場合であっても,解雇が,  

①客観的合理性(簡潔に言えば,就業規則等で定めた解雇事由に該当する事情が存在することを言います)と,

②社会通念上相当(解雇による不利益の大きさが労働者に生じた事由(違反行為の重大性など)の大きさに比して,不相当でないこと)の各要件を満たしていることが最低限必要です。

  整理解雇の場合には,この2つ以外に,さらに4つの要件(具体的には,「解雇の種類」の記事をご参照ください)を満たすことが必要であるとされています。従業員の非違行為などが直接の解雇の理由となっていないため,

 他の種類の解雇よりもさらに厳格な要件が課されています。

  また,普通解雇の場合,上記2つの実態的要件のほかに,手続的な要件として,最低30日の予告期間を置くこと(具体的には,解雇の効力発生日の少なくとも30日前までに解雇を通知すること,又は,少なくとも30日分の賃金に相当する金銭を支払うこと)が必要とされています。

 

3 合意による退職

  もっとも,会社と労働者との間で,合意に基づいて,労働者を退職の扱いとする場合(「合意退職」と言います。)には,上記のような厳格な要件は課されず,自由に行うことが可能です(そもそも,双方の合意による退職ですので,「解雇」には該当しません。)。

  合意退職の前提として,会社から労働者に対して,退職勧奨が行われることがあります。ただし,退職勧奨の手段として強引なやり方を進めてしまうことは,後に不法行為にあたることを理由に,労働者から損害賠償請求を提起されるなどのおそれがありますので,適正な方法で行われる必要があります。

  退職勧奨の適正な進め方等については,別途「退職勧奨の進め方」に関する記事をご覧ください。

 

4 弁護士のサポートを受けること

  解雇は,従業員に及ぼす影響の大きさから,このように厳格な要件を満たした場合にのみ有効になし得るものとされています。そして,後に違法な解雇を行ったとされれば,裁判所から一定の金銭支払いを命じられてしまうことにもなりかねませんので,解雇を行うにあたっては,事前に十分な検討を要するものといえます。

このため,解雇を行うにあたっては,法的に問題がないかどうかについて,できる限り事前に,弁護士のアドバイスを受けることをお勧めします。

 また,解雇を行った後に紛争が生じてしまった場合であっても,やはり専門家である弁護士に相談をされ,適切な事後対応をご依頼されることをお勧めします。

  弊所では,解雇の適法性に関するアドバイスや事後的な紛争対応等,段階に応じて,必要なサポートをさせていただきますので,お気軽にご相談ください。


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